自分の価値観を明確にする方法:キャリアと幸福度を高める羅針盤の探し方
漠然とした不安を具体的な行動へ:価値観が導く「わたしらしい働き方」
仕事にやりがいを感じられず、今後のキャリアに対して漠然とした不安を抱えている方もいらっしゃるかもしれません。日々の業務をこなしながらも、「このままで良いのだろうか」「自分は何をしたいのだろう」といった問いが頭をよぎることは少なくないでしょう。
このような感覚は、ご自身の「価値観」がまだ明確になっていないことに起因している場合があります。自分の価値観が曖昧な状態では、どの方向へ進むべきか、何を選択すべきかが見えにくく、迷いが生じやすくなるものです。
この記事では、皆様が抱える漠然とした不安を解消し、「わたしらしい働き方」を見つけるための強力な羅針盤となる「自分の価値観を明確にする方法」について、具体的なステップと実践的なアヒントをご紹介いたします。この記事を通じて、自己理解を深め、行動への一歩を踏み出すきっかけを見つけていただければ幸いです。
価値観とは何か:なぜ今、価値観の明確化が必要なのか
価値観とは、私たちが物事を判断し、選択し、行動する際の「基準」となるものです。例えば、「成長することに価値を感じる」「安定を重視したい」「誰かの役に立ちたい」といった、その人固有の信念や優先順位を指します。
この価値観が明確であることは、キャリアを築き、幸福度を高める上で非常に重要です。
- 意思決定の精度向上: 自分の価値観が明確であれば、キャリアの選択、仕事の選び方、日々の業務における優先順位付けなど、あらゆる意思決定において迷いが少なくなります。
- 主体的な行動: 価値観に沿った行動は、内側から湧き出るモチベーションに繋がり、受動的ではなく主体的に仕事に取り組むことができるようになります。
- 幸福度の向上: 価値観に合った働き方や生き方を実践することで、満足感や充実感が増し、結果として全体の幸福度が高まります。
特に現代社会は、働き方が多様化し、技術革新のスピードも速く、私たちを取り巻く環境は常に変化しています。このような状況だからこそ、外部の意見や情報に流されることなく、自分自身の「軸」を持つことが、安定したキャリア形成と精神的な充実感に繋がるのです。
自分の価値観を見つけるための具体的なステップ
それでは、どのようにして自分の価値観を明確にしていけば良いのでしょうか。ここでは、具体的な3つのステップをご紹介します。
1. 過去の経験から「心の琴線に触れた瞬間」を振り返るワーク
最も効果的な自己分析の一つに、過去の経験を振り返ることで、自身の根源的な価値観を浮き彫にする方法があります。以下の問いかけを参考に、ノートやデジタルツールを使って書き出してみましょう。
- 嬉しかったこと、達成感を感じたこと: 仕事やプライベートで「最高に嬉しかった」「大きな達成感を得られた」と感じた瞬間は何でしょうか。その時、具体的に何をしていましたか。どのような状況でしたか。そして、なぜそれが嬉しかったのでしょうか。その「なぜ」の奥に、あなたの価値観が隠されています。
- 例: チームで困難なプロジェクトを成功させた時 → 「貢献」「協調性」「挑戦」
- 例: 顧客から直接感謝の言葉をもらった時 → 「人の役に立つ」「承認」
- 不満を感じたこと、悔しかったこと: 逆に、「これは納得がいかない」「悔しい思いをした」と感じた経験も価値観を知る上で重要です。何が不満でしたか。どのような状況に悔しさを感じましたか。その背景には、あなたが何を重視しているからこそ、不満や悔しさを感じたのかが隠されています。
- 例: 成果を公平に評価してもらえなかった時 → 「公平性」「正当な評価」
- 例: 自分の意見を聞いてもらえなかった時 → 「自己決定権」「尊重」
これらの経験を深掘りすることで、自分が何を大切にし、何を許容できないのかが見えてきます。
2. 「価値観リスト」を活用した自己分析
「価値観リスト」を用いることで、抽象的な感情を具体的な言葉に落とし込みやすくなります。以下のリストから、特にご自身にとって重要だと感じるものを10個程度選び出し、そこからさらに優先順位の高い3〜5個に絞り込んでみましょう。
- 一般的な価値観の例:
- 成長: 新しい知識やスキルを習得すること、自己を高めること
- 貢献: 他者や社会の役に立つこと、影響を与えること
- 安定: 精神的・経済的に安心できる状態であること
- 自由: 自分で選択し、決定できる裁量があること
- 創造性: 新しいアイデアを生み出し、形にすること
- 人間関係: 良好な人との繋がりや協力関係
- 挑戦: 未知の領域に踏み込み、困難を乗り越えること
- 承認: 他者から認められ、評価されること
- 公平性: 物事が平等に扱われること、正義
- 健康: 心身ともに健やかであること
- 知的好奇心: 知的な探求や学習を続けること
- 調和: 周囲とのバランスを保ち、穏やかに過ごすこと
選び出した価値観がなぜ重要なのかを、それぞれの言葉で説明してみてください。例えば、「なぜ私にとって『成長』が大切なのか」を具体的に言語化することで、その価値観が持つ意味がより明確になります。
3. 理想の働き方から逆算する
「もし、時間やお金、能力の制約が一切なかったら、どんな働き方をしたいか」という問いを立て、具体的に想像してみることも有効です。
- どのような場所で働いていますか。
- どのような人たちと関わっていますか。
- どのような内容の仕事をしていますか。
- どれくらいの時間働いていますか。
- その働き方で、何を得たいですか(報酬、満足感、スキル、社会貢献など)。
この理想の働き方を詳細にイメージし、その根底にある「何を大切にしたいか」を深掘りすることで、あなたの価値観が浮き彫りになります。例えば、「時間や場所に縛られずに働きたい」という理想の裏には「自由」や「自己裁量」といった価値観が隠れている可能性があります。
明確になった価値観を「わたしらしい働き方」に活かす方法
自分の価値観が明確になったら、それをどのように日々の仕事やキャリア形成に活かしていくかが重要です。
1. 現状の仕事に価値観を照らし合わせる
現在の仕事が、あなたの見つけた価値観とどの程度一致しているかを確認してみましょう。
- 一致している点: どのような業務や状況で価値観が満たされていますか。その部分をさらに伸ばすことはできないでしょうか。
- 一致していない点: どの価値観が満たされていないと感じますか。その不一致は、業務内容や役割の調整、あるいは同僚や上司とのコミュニケーションを通じて改善できないでしょうか。
- 例えば、「成長」を重視するにも関わらず、ルーティンワークばかりで新しい学びがないと感じる場合、上司に相談して新しいプロジェクトへの参加を打診したり、自主的に学習機会を創出したりする「ジョブクラフティング」(※)のようなアプローチも考えられます。
- (※)ジョブクラフティング:与えられた仕事を単にこなすだけでなく、仕事内容や人間関係、仕事に対する考え方などを自ら見直し、再構築することで、仕事へのエンゲージメントを高める工夫のこと。
2. キャリア選択の羅針盤とする
転職、副業、フリーランスといった多様な働き方を検討する際、明確になった価値観を判断基準として活用します。
- 「この選択は、私の最も重視する価値観を満たせるだろうか」
- 「この働き方で、将来的にどのような価値観を実現できるだろうか」
例えば、「安定」を重視するなら、大手企業での勤務や公務員といった選択肢が魅力的かもしれません。一方で、「自由」や「創造性」を重視するなら、フリーランスやスタートアップ企業での働き方がフィットする可能性もあります。自分の価値観と照らし合わせることで、後悔の少ない選択ができるようになります。
3. 日常生活での幸福度向上に繋げる
価値観は仕事だけでなく、プライベートにおいても私たちの行動を規定します。明確になった価値観は、仕事以外の生活においても幸福度を高めるヒントになります。
- 例えば、「人間関係」を重視するなら、家族や友人と過ごす時間を意識的に増やす。
- 「健康」を大切にするなら、運動や食事に気を配る。
このように、日々の小さな選択においても価値観を意識することで、生活全体の満足度が高まり、それが仕事への活力にも繋がります。
価値観を羅針盤に、あなたらしい未来へ一歩を踏み出す
自分の価値観を明確にすることは、漠然とした不安を具体的な行動に変え、あなた自身のキャリアと幸福度を主体的にデザインするための重要なステップです。一度見つけた価値観も、時間の経過や経験によって変化する可能性があるため、定期的に見直し、対話する時間を設けることをお勧めします。
この記事でご紹介したステップは、どれも一人で始めることができるものです。まずは、過去の経験を振り返るところから、あるいは価値観リストから気になる言葉をピックアップすることからでも構いません。小さな一歩を踏み出すことで、やがてあなたの働き方、そして生き方が、より「わたしらしい」ものへと導かれていくでしょう。
「わたしらしい働き方LAB」は、あなたの価値観を見つけ、幸福度を高める働き方を実践するための情報をこれからも提供してまいります。